草薙にとって、百合さんは、自分がまっすぐ立っているための重りのようなものかもしれない、と僕は思った。バランスを取るために不可欠な、重りだ。彼は大切な重りを、傷つけられることはもとより、触れられるのだって、嫌なのだ。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り ページ位置:39% 作品を確認(amazon)
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......野が言っていたみたいに、何かされたのかな?」 僕はそれほど大袈裟なことを想定して、発言したわけではなかった。けれど、草薙の表情がみるみる強張ったので、驚いた。 草薙にとって、百合さんは、自分がまっすぐ立っているための重りのようなものかもしれない、と僕は思った。バランスを取るために不可欠な、重りだ。彼は大切な重りを、傷つけられることはもとより、触れられるのだって、嫌なのだ。「日比野さん、一緒じゃないんですか」と訊ねてきた時には、彼の表情も緩んでいた。「僕を置いて、どこかへ行ってしまった」と言ってから、僕は草薙の自転車を顎で指した。......
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