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平常外気の冒さない奥の方まで冷え入って、懐ろ手をしてもなんの役にも立たないくらいになって来た。
梶井基次郎 / 冬の蠅 ページ位置:67% 作品を確認(青空文庫)
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寒い・冷気・凍える
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前後の文章を含んだ引用
......曠漠こうばくとした周囲のなかでいかにも孤独であった。その火をいて一点の燈火も見えずにこの谿は暮れてしまおうとしているのである。寒さはだんだん私の身体へい込んで来た。平常外気の冒さない奥の方まで冷え入って、懐ろ手をしてもなんの役にも立たないくらいになって来た。しかし私はやみと寒気がようやく私を勇気づけて来たのを感じた。私はいつの間にか、これから三里の道を歩いて次の温泉までゆくことに自分を予定していた。ひしひしと迫って来る......
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