淳が機嫌よくしている時は悠木の心は満たされた。だが、ひとたび淳が反抗の気配でも漂わそうものなら、胸に溢れ返る愛情は一瞬にして底知れぬ憎悪へと変化し、どこまでも冷淡に淳に当たった。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 ページ位置:4% 作品を確認(amazon)
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愛憎
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前後の文章を含んだ引用
......がて淳の機嫌を取るようになっていた。凄いな。偉いな。よく頑張ったな。心にもない浮わついた言葉の数々を湯水のごとく与えた。そうしてこっそり淳の様子を盗み見ていた。淳が機嫌よくしている時は悠木の心は満たされた。だが、ひとたび淳が反抗の気配でも漂わそうものなら、胸に溢れ返る愛情は一瞬にして底知れぬ憎悪へと変化し、どこまでも冷淡に淳に当たった。時には手も上げた。裏切られたと感じてしまうと頭の中が真っ白になって理性を失った。 父の顔を知らないからかもしれない。幼い頃、父は蒸発したのだと泣き腫らした目の母......
単語の意味
冷淡(れいたん)
胸(むね)
冷淡・・・1.ものごとに興味や関心を示さないこと。気持ちが冷めていること。淡白。
2.思いやりがないこと。苦しんだり悩んだりしている相手の心を理解する気持ちを示さず、態度が冷たいこと。
2.思いやりがないこと。苦しんだり悩んだりしている相手の心を理解する気持ちを示さず、態度が冷たいこと。
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