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彼女の目は黒くて丸い。は虫類の目、無心の目だ。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 ページ位置:0% 作品を確認(amazon)
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感情のない目
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 この文章の中で彼女をとかげ、と呼ぶ。 そう呼ぶのは、彼女の内ももにちいさなとかげの入れ墨がしてあるからではない。 彼女の目は黒くて丸い。は虫類の目、無心の目だ。 彼女は小さく、体は隅々まで冷たい。あまりにも冷たいので、私は彼女をこの両手のひらに包み込んでやりたいと思う。でもそれはひなどりや子ウサギのようではない。包み込んだ手のひらでちょろちょろと違和感のある感触......
単語の意味
無心(むしん)
心の目(こころのめ)
無心・・・1.無邪気なさま。雑念や欲望にまったくとらわれてないさま。
2.正当な理由も無く、人に金品をねだること。
心の目・・・物事の真実の姿をはっきりと見分ける鋭い心の働きを、目に見立てた言葉。心眼(しんがん・しんげん)。
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