冬の陽は赤く、落ちるのも素早い。

（雪の夜）空気が全部凍りついてしまったように静かだった。

十二月に入れば午後四時を過ぎると天空は慌ただしく寒々しい夜の準備に入っていく

外には冬の闇が満ちていた。どこか甘い匂いがするような、しっとりした闇だった。掌を広げると、闇のベールの感触がつかめそうだった。

暖冬とはいえ、夜の外気はきりりと肌をさすようにはりつめているものだ

何もかもリセットしたような気分になれるお正月

雪の頃になると、いつも私は足指に霜やけが出来て困った。

霧のように染み透る冬の重い冷気

冬の乏しい日光が中庭の植え込みの上に落ちる

風の強い冬の夜には、明かりのついた窓は特別な優しい温もりを獲得する。天吾は光の灯った窓をひとつひとつ順番に目で追っていった。小さな漁船から夜の海に浮かんだ豪華な客船を見上げるように。