他愛ない話題ばっかりだけれど、話題なんかどうでもいい。口と耳と皮膚と目と匂い。五感を確かにくすぐるほど傍にいることが、大切なのだ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 ページ位置:8% 作品を確認(amazon)
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雑談・世間話・とりとめのない会話
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前後の文章を含んだ引用
......より大切だった。「あの人、洋服のセンスかなり悪くねぇ?」とか「駅の捨てネコさ、誰か餌やってる?」とか、昨日のドラマのこととかファッション雑誌の最新号のこととか、他愛ない話題ばっかりだけれど、話題なんかどうでもいい。口と耳と皮膚と目と匂い。五感を確かにくすぐるほど傍にいることが、大切なのだ。傍にいなければ忘れてしまう。「理穂の欠点だね。お利口さんのいい人ぶるの」 もう一度、美咲が笑う。とどめを刺すように、あたしに指を向けた。「忘れるよ。傍にいないや......
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雑談・世間話・とりとめのない会話の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
大人が心底何気なく楽しめる会話は今この場で生まれる新鮮な会話の泉ではなく、相手の言葉の意味を聞き取り違えないように注意を払う必要もなく、気の利いた返しが素早くひらめく必要もない、ある程度自分の予測通りに会話の筋道が運ぶ、テレビで聞いたか他の人といったん話題にしたかした手垢のついた古いニュースだ。内容に集中しなくて良いときに初めて私たちは会話のキャッチボールを楽しめる。結局はいつも食べなれている家庭の味を、一番おいしいと感じるように。ありきたりのテーマをテーブルの真ん中に差し出し、なんら目新しくないそれを一人一人が順ぐりにくちばしで突つく。
綿矢 りさ / 仲良くしようか「勝手にふるえてろ (文春文庫)」に収録 amazon
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吐息のような私語(ささやき)
水上 瀧太郎 / 山の手の子「俤 (百年文庫)」に収録 amazon
「むうー」という、ふんづけられたガマガエルの発するような呻き声をたてる
荻野 アンナ / 背負い水 amazon
娘ははじめて自分の知識が真味 に私を悦 ばせるらしいのに、張合いを感じたらしく、口を継いで語った。
岡本かの子 / 河明り
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