胸の中に巣食った感情が、化け物になって孵化しそうになる。《…略…》女の子は妄想と現実を絡み合わせて、胸に巣食った発情を処理できずに、体の中に初恋という化け物を育てていく
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 ページ位置:56% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
恋愛・恋する・恋心
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......かった。「清潔感が溢れて安全で、静かで勉強に集中しやすい街です」の一行で、私の作文は止まっていた。 本当は、私にとってこんな危険な街はない。この息苦しい世界で、胸の中に巣食った感情が、化け物になって孵化しそうになる。 私は顔をあげて伊吹の背中を見た。伊吹は周りから背中を叩かれて、楽しそうに笑っていた。その背中は、自分とはまったく違う世界で暮らしているんだと思った。 掃除の時......<中略>......いく。 伊吹だけが、何も知らずに、グラウンドで呑気にサッカーをしながら笑っている。恋をしてどんどん不自然になっていく私たちを嘲笑うかのように、自然体なままで。 女の子は妄想と現実を絡み合わせて、胸に巣食った発情を処理できずに、体の中に初恋という化け物を育てていくのに。「な、簡単じゃん? すぐに出れちゃうんだよ。閉じ込められてるんじゃなくて、閉じこもってるのは谷沢だって感じがする」「……」「また、いつでも来ればいいじゃん......
単語の意味
体(からだ)
胸(むね)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
ここに意味を表示
恋愛・恋する・恋心の表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
「樹木か何か揺さぶられているような」自分の心持
瀧井 孝作 / 無限抱擁 amazon
その時わたしは、自分がどれほど野呂という男を愛し、欲しがり、自分だけを見ていてほしいと願っていたか、はっきりと知った。認めた。 理由などどうでもいい。彼はわたしの人生そのものだったのだ。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「恋愛」カテゴリからランダム5
過激なほどに動く。身体そのものよりも、視線を楽しませるために右に左に腰をひねる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(レズビアン)それから下着の中に彼女の細くてやわらかい指が入ってきて、《…略…》男の人のごつごつした指でやられるのとは全然違うのよ。凄いのよ、本当。まるで羽毛でくすぐられてるみたいで、私もう頭のヒューズがとんじゃいそうだったわ。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
二人のからだは、縁から少しずつ、更けゆく夜の一部と化していった。見つめ合い、折々 萌す笑みを、熱を帯びた唇で移し合った。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
恋愛 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ