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私は「嫌い」という言葉が好きなのかもしれなかった。この言葉を口にしていると、自分がどんどん鮮明になっていく気がする。《…略…》(こんな街、大嫌い) 心の中で呟くと、また自分が鮮明になった気がした。 皆がわくわくしているものを、こっそりとけなすと、なんだか自分がすごく特別な女の子みたいだ。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 ページ位置:4% 作品を確認(amazon)
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......し。引っ越してくる前の街はそんなことなかったもん。なんか変。生き物みたい」「嫌いなの?」 私は真ん丸い伊吹くんの目を振り返り、勢いでつい頷いた。「うん。嫌い」 私は「嫌い」という言葉が好きなのかもしれなかった。この言葉を口にしていると、自分がどんどん鮮明になっていく気がする。 伊吹くんが声をあげて笑った。「ふうん、変わってるなー、谷沢」 なんだか平凡ではないと言われたみたいで胸が高鳴り、耳の後ろと膝の裏側がかあっと熱を持った。「ニュ......<中略>......になっているところや、今工事をしているところに、巨大な施設やマンションがたくさん建っていて、まるで夢の街みたいだ。 私は何気なく近寄って、ケースに顔を近づけた。 心の中で呟くと、また自分が鮮明になった気がした。 皆がわくわくしているものを、こっそりとけなすと、なんだか自分がすごく特別な女の子みたいだ。私は肩までの髪の毛を揺らしながら、いかにも退屈そうに展示物を見て回っていた。案内所のお姉さんは、不思議そうにこちらを見ていた。それも、なんだかくすぐったかった。......
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(海外のホテルのフロントで)「この近くにプールはありますか?」 従業員は眉を少ししかめ、考えを巡らせ、それから丁寧に首を横に振った。まるで国家の歴史の不備を詫びるように。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
「いえいえ、そんなことは」 唐木田は両手を胸の前で振った。
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九九を間違えた小学生をたしなめる教師のような顔で首を振る
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真赤な真赤な金箔 付のヨタ
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若葉ちゃんは、小学校の頃から一緒にいる相手が喜ぶことなら何でも言う子だった。それは今でも変わっていないけれど、女王様のご褒美みたいに周りの女の子に喜ぶ言葉を与えていた昔と違って、今はただ、小川さんに必死にそれをお供えし続けていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
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