きゅんとした。少しだけ、心に影が落ちるような感じがした。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:56% 作品を確認(amazon)
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寂しい
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......。 弟のいない暮らしは、音のない映画みたいに、なにかが欠けている感じがした。 弟の部屋の前を通るたびに、死んだわけでもないのに真由や父の写真を見た時と同じようにきゅんとした。少しだけ、心に影が落ちるような感じがした。 なにをしていても、しばらくは弟を気にかけていた。幹子も一つ多くケーキを買ってきたりして、しゅんとしては分けて食べたりした。「こういうのって、由ちゃんが大学行っ......
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(仲よしグループから当然の絶縁を宣告され、思い当たることがない心境)どう言えばいいんだろう、まるで航行している船のデッキから夜の海に、突然一人で放り出されたような気分だった《…略…》誰かに突き落とされたのか、それとも自分で勝手に落ちたのか、そのへんの事情はわからない。でもとにかく船は進み続け、僕は暗く冷たい水の中から、デッキの明かりがどんどん遠ざかっていくのを眺めている。船上の誰も船客も船員も、僕が海に落ちたことを知らない。まわりにはつかまるものもない。そのときの恐怖心を僕は今でも持ち続けている。自分の存在が出し抜けに否定され、身に覚えもないまま、一人で夜の海に放り出されることに対する怯えだよ。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
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唯一人で曠野(こうや)の深い深い雪に埋もれているような心持ち
島崎 藤村 / 三人の訪問者 amazon
彼は孤独を感じ、ソファから身を起こした。それを悟られたくない気持ちと、理解されたい気持ちとを同時に抱いていた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
私は圏外に置き忘れられた、たった一人の登場人物だ
林芙美子 / 新版 放浪記
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