TOP > 暮らしの表現 > 生と死 > 喪失感(大切なものを失う)
目に映るものはそこにたまたまある現実の風景でしかなくなり、聞こえてくるのは現実の音だけだった。あんなに心の中で豊かに息づいていたはずの世界は、乳色の霧にまかれたように、その輪郭すら見えなくなっていた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:86% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
喪失感(大切なものを失う)
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......しい、と思っていたのに、人生は美しいどころか空疎だった。あれほど日常のひとこまひとこまが輝くばかりの意味をもっていたはずなのに、もう何の意味もなくなっていた。 目に映るものはそこにたまたまある現実の風景でしかなくなり、聞こえてくるのは現実の音だけだった。あんなに心の中で豊かに息づいていたはずの世界は、乳色の霧にまかれたように、その輪郭すら見えなくなっていた。 それでもわたしは生き続けていた。食べて飲んで眠って、その単純な馬鹿げた繰り返しを続けることから目を背けずにいさえすれば、かろうじて生き永らえることができるはず......
単語の意味
乳色(ちちいろ)
風景(ふうけい)
乳色・・・牛乳のような色。少し濁りのあるような白。乳白色。
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
ここに意味を表示
喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
謙作 はその冬、初めての児を失い、前年とは 全 で 異 った心持で、この春を過して来た。都踊も八重桜も、去年はそのまま楽しめたが、この春はそれらの奥に何か不思議な淋しさのある事が感ぜられてならなかった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「心」の言葉を含む悲しみの表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
がらんと空虚に銷沈 しがちな心
宮本百合子 / 伸子
このカテゴリを全部見る
「悲しみ」カテゴリからランダム5
眉の間に、失望をかげらせた
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon
絶望感に、彼女の胸は押し潰された
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
「生と死」カテゴリからランダム5
訪れた者たちは、次々に飛んで行ってしまった。流れ星のようにどこかに消えてしまったのだろうか。
大庭 みな子 / 啼く鳥の amazon
同じカテゴリの表現一覧
悲しみ の表現の一覧
悲しみのレベル
悲しみの感覚、精神的な反応
悲しみの表情、リアクション
その他の悲しみの表現
次の文字を含む「悲しみ」の表現を検索 |
悲しさが 悲しみを 悲しくて 悲しさ 悲しい 心 哀感 胸 寂しさが 寂しさ |
生と死 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ