「……二十年……」 こう叫びかけた私の声は、まだ声にならないうちに、一種の唸り声みたようなものになって、咽喉 の奥に引返した。その正木博士の二十年間の苦心が、そのまま私の頸筋 に捲き付いて来るような気がしたので……。
夢野久作 / ドグラ・マグラ ページ位置:14% 作品を確認(青空文庫)
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(恐怖や驚きで)声にならない
驚いたときのリアクション
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......…」 「エッ。エッ。僕を実験するために、そんなに恐ろしい準備……」 「そうです、正木先生は実に二十余年の長い時日を、この実験の準備のために費されたので御座います」 「……二十年……」 こう叫びかけた私の声は、まだ声にならないうちに、一種の唸り声みたようなものになって、咽喉 の奥に引返した。その正木博士の二十年間の苦心が、そのまま私の頸筋 に捲き付いて来るような気がしたので……。 すると今度は若林博士もそうした、私の気持ちを察したらしく又もゆっくりとうなずいた。 「そうです。正木先生は、まだ貴方が、お生れにならない以前から、貴方のた......
単語の意味
咽喉(いんこう・のど)
首筋・頸筋(くびすじ)
叫ぶ・号ぶ(さけぶ)
咽喉・・・のどのこと。
首筋・頸筋・・・首の両側から後部にわたる部分。首の後ろ側の部分。項(うなじ)。襟首(えりくび)。首根っ子・頸根っ子(くびねっこ)。
叫ぶ・号ぶ・・・1.何かを訴えるために、大きな声を出す。大声を発する。大声で言う。
2.世間に向かって強く主張する。強く訴える。
2.世間に向かって強く主張する。強く訴える。
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(恐怖や驚きで)声にならないの表現・描写・類語(恐怖・不安のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼は失語症の発作に襲われ、反論することすらできずに立ち尽くしていた。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
彼らは黙った。俺の云うことがあまりに大胆に聞えたのか、返辞の準備が無いのである。
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
彼女は、「──え?」と一言発したきり、絶句した。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
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目の前で沙里が喋り続けているのだが、その声が聞こえない。みんなが口々に何か言っているのだが、まるでみんな溺れているように、その口がパクパクと動いているだけにしか見えない。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
かろうじて、喉から漏れた空気が声になる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
(訃報の手紙の)文面に目を通して、「……は?」と腹を立てたかのように声を上げた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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城戸の心臓は、彼の胸を内から懸命に叩いて、何かを訴えようとしていた。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
僕は彼の内心では僕の秘密を知る為に絶えず僕を注意しているのを感じた。
芥川竜之介 / 歯車
心臓はにわかに鼓動を増した。
梶井基次郎 / ある崖上の感情
まるで蠟燭を吹き消した後に立ちのぼる一筋の白い煙のように、彼の心の中の何かが闇をしばらくの間漂いそして消えた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
流れる汗さえ心地よい
百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
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「心」の言葉を含む驚きの表現・描写・類語(驚きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
不意だったから、どんと心臓がバウンドして、痛いくらいだった。
朝井 リョウ / もういちど生まれる「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
心臓は妙な打ち方をした。
中島 京子「小さいおうち (文春文庫)」に収録 amazon
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不吉な予感が暗い雲のように地平線に姿を見せていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
ヒリヒリと神経を震わせる不安感
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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