ふすま一枚で隔てられただけの部屋では声をあげて泣くこともできない。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 ページ位置:12% 作品を確認(amazon)
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泣きそう・泣くのを我慢
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前後の文章を含んだ引用
......ひと言はきつかった。誰のせいで、わたしが彼をあきらめたと思っているのだ。 母親は驚いた顔で見ていたけれど、わたしは黙ったまま手紙を持って自分の部屋に駆け込んだ。ふすま一枚で隔てられただけの部屋では声をあげて泣くこともできない。でも、母親の泣く声を聞いたこともない。 わたしたちはそうやって母娘二人で強く生きてきたのだ。 母親は田舎町にある食堂で働きながら、女手一つでわたしを育ててくれた......
単語の意味
隔てる(へだてる)
隔てる・・・間に何か置く。間に何か置いて交流や行き来できないようにする。時間的、空間的に間をあける。
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泣きそう・泣くのを我慢の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼女はそのまま泣き出しそうに見えた。あるいは大声で叫びだしそうに見えた。でもなんとかそこに踏みとどまった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
泣き出すんじゃないだろうなと、蒔野はその思いつめた様子にたじろいだ。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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「悲しみ」カテゴリからランダム5
絶叫したくなるほどの悲しみがわたしを襲う。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「泣く」カテゴリからランダム5
喚き声は蜘蛛の網のように十和子のまわりに張りめぐらされている。声の網を伝って、陣治という蜘蛛の粗野な卑怯さが這い進んでくる。十和子を粘液のなかに搦め捕ろうとする。搦め捕った十和子の身体を、十和子に気付かせないように端の方からちまちまとしゃぶって喰らおうとする。 声はいっそう芝居がかってくる。奇怪な痴態をこれでもかと見せ付けてくる。十和子のドアを叩いて窮状を訴えることもせず、かと言って、呻きを押し殺してひとり耐えるのでもない。その中間のどこかに罠をはって、十和子をおびきだそうとしている。陣治、どないしたん、と十和子の方から出ていくのを、下卑た期待の表情を浮かべてひそかに待ち構えているのだ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
不覚の涙が白粉の砂漠に肉色の流れをつくる
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
両手を床について前かがみになり、まるで吐くような格好で泣いた
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
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