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「また聞こえた。」  と言って、弟がぱっと顔を上げた。  目を見開いていた。  何もかもを見ようとしているように。  そうか、頭で直接聞くということは、聴覚よりも視覚により近いんだ、と知った。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:54% 作品を確認(amazon)
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脳に直接語りかける
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......うだった。 背中に触れる冷たいコンクリートの感触が、しみてくるようだった。 途方に暮れた私が、「毎日、プールにでも行こうか。」 と言ったのと、それは同時だった。「また聞こえた。」 と言って、弟がぱっと顔を上げた。 目を見開いていた。 何もかもを見ようとしているように。 そうか、頭で直接聞くということは、聴覚よりも視覚により近いんだ、と知った。「何て。」 私は平静を装ってたずねた。「朔ちゃん、今すぐ神社に行こう。」 弟は言った。「何しに?」「円盤が、来るって。」 弟は言った。「もし本当に来たら、僕のこ......
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