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(カジカガエルをじっと見つめる)真近に河鹿を眺めていると、ときどき不思議な気持になることがある。芥川龍之介は人間が河童かっぱの世界へ行く小説を書いたが、河鹿の世界というものは案外手近にあるものだ。私は一度私の眼の下にいた一匹の河鹿から忽然こつぜんとしてそんな世界へはいってしまった。その河鹿は瀬の石と石との間に出来た小さい流れの前へ立って、あの奇怪な顔つきでじっと水の流れるのを見ていたのであるが、その姿が南画の河童とも漁師ともつかぬ点景人物そっくりになって来た、と思う間に彼の前の小さい流れがサーッと広びろとした江に変じてしまった。
梶井基次郎 / 交尾 ページ位置:59% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......恐怖をやり過ごした体で元のところへあがって来る。今度は私の一望の下に、余儀ないところで中断されていた彼らの求愛が encore されるのである。  こんな風にして真近に河鹿を眺めていると、ときどき不思議な気持になることがある。芥川龍之介は人間が河童かっぱの世界へ行く小説を書いたが、河鹿の世界というものは案外手近にあるものだ。私は一度私の眼の下にいた一匹の河鹿から忽然こつぜんとしてそんな世界へはいってしまった。その河鹿は瀬の石と石との間に出来た小さい流れの前へ立って、あの奇怪な顔つきでじっと水の流れるのを見ていたのであるが、その姿が南画の河童とも漁師ともつかぬ点景人物そっくりになって来た、と思う間に彼の前の小さい流れがサーッと広びろとした江に変じてしまった。その瞬間私もまたその天地の孤客たることを感じたのである。  これはただこれだけの話に過ぎない。だが、こんな時こそ私は最も自然な状態で河鹿を眺めていたと云い得るのか......
単語の意味
案外(あんがい)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
顔付き(かおつき)
案外・・・現実が予想と食い違っていたさま。見当が外れたさま。意外なさま。思いのほか。
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
顔付き・・・1.顔のようす。顔だち。容貌(ようぼう)。
2.気持ちを反映した顔のようす。表情。
「付き」は、体に関する名詞の下に付いて、そのものの様子や格好をあらわす。「腰付き」「手付き」など。
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