恐れを知らない猪のように、キューは勢いよくボールにぶつかる
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ビリヤード
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単語の意味
猪(いのしし)
猪・・・イノシシ科の哺乳動物。体は豚に似て、牙がある。首は短い。警戒心が強く、突進して攻撃する。方向転換は出来ない。夜行性で山林や原野に住む。毛は普通黒くて粗い。肉は食べることができ「山鯨(やまくじら、食感が鯨に似ている)」「ぼたん」などという。
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薄暗い地下室の中で、玉台に敷きつめられたフェルトの緑色が強く目に沁みた。玉と玉のぶつかり合う音が、玉台のまわりを歩き 廻る二人の足音に重なって、大きく小さく響き合っていた。それは曇り空の下にひろがる長方形の暗い草原の中から、どうにかして逃げだそうとあがいている血塗られた小動物のように見えた。逃げだそうとしては何度も跳ね返され、赤玉によって寄りそわされたり、離ればなれにさせられたりしながら、白い二つの小動物は、全速力で走ったかと思うと突然その場にとどまって息を整えるのである。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
キューにチョークをこすりつける際の小動物の悲鳴に似た軋み音
宮本輝 / 道頓堀川 amazon
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芥川龍之介 / 芋粥
リフティングを見せてもらった。サッカーボールが、生きもののように肩や足の先で跳ねていた。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
武内は、玉突き場の蛍光灯に照らされ、前転し、後転し、斜めにひねられ、直線とかすかな弧を交互に描きながら、硬い音をたててぶつかり合っている赤と白の玉を見やった。それはもはや丸い 象牙 の玩具ではなく、細長い棒から突き出される邪悪なエネルギーにもてあそばれて、目に 沁みるばかりに鮮やかな緑色の小宇宙を 輾転 する、小さな切ない生命体であった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
身体はふわりと宙に浮き、古着の塊のようにぼさっと泥のなかへまた投げ出された。
伊藤 整 / 馬喰の果て (1954年) amazon
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