浜を 嚙 む単調な音
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:63% 作品を確認(amazon)
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波の音・潮騒
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前後の文章を含んだ引用
......べを受けるためと思いこんでいた司祭にとってはこの待遇はいささか、意外だった。 灰色の砂がなだらかに拡がり入江に続き、空は曇っているので海は鈍い褐色を帯びている。浜を嚙む単調な音は司祭に、モキチとイチゾウの死を思い起させる。あの日、海には絶え間なく霧雨が降り、その雨の中を海鳥が杭のそばまで飛んでいた。くたびれたように海は黙り、神もまた沈......
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波の音・潮騒の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
夜気はこまやかに森 として、遠くごく遠く波の音もする。夜、波の音は何故あのように闇にこもるように響くのだろう。
宮本百合子 / 明るい海浜
太平洋の荒い波だ。多くの魂が集まって、銘々の物語を囁きあっているような、太く暗い響きがそこにはあった。その集まりは更に多くの魂の参加を求めているようだった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
白浪が、遠近の距離感を外れて、ざーっざーっと鳴る
岡本かの子 / 金魚撩乱
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(銭湯でたくさんの人たちの)熱い熱いと云う声が吾輩の耳を貫 ぬいて左右へ抜けるように頭の中で乱れ合う。その声には黄なのも、青いのも、赤いのも、黒いのもあるが互に畳 なりかかって一種名状すべからざる音響を浴場内に漲 らす。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
突然一人の漁夫が意味のわからない言葉を大きな声で叫んだのは。今まででも五人が五人ながら始終何か互いに叫び続けていたのだったが、この叫び声は不思議にきわ立ってみんなの耳に響いた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
上を歩いてでも渡れそうに思わせた海の匂い
竹西 寛子 / 猫車「兵隊宿 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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