永杉英作が「天然パーマネント」と呼ぶ、少しちぢれて段の着いた髪が広い額の上で波打っている。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置：59% 作品を確認（amazon）
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パーマ・ちぢれ髪
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......この判断に基づくのである。 永杉英作の左手に羽山純一は組んだ両足でゆるく拍子を取り、頑丈な上半身をゆりながら、小さい声で「憎しみの坩堝」をロシヤ語で歌い出した。永杉英作が「天然パーマネント」と呼ぶ、少しちぢれて段の着いた髪が広い額の上で波打っている。黒いセルロイドの眼鏡の中の強い視線、少しふくれて小さい瘤のように盛り上っている鼻隆、角張った横顎、しゃくり上げるように突き出た下顎、この日焦けした頰にえくぼが出......
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