朝晩の凍 み方はたいして冬と変わりはない。ぬれた金物がべたべたと糊 のように指先に粘りつく事は珍しくない。けれども日が高くなると、さすがにどこか寒さにひびがいる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:75% 作品を確認(青空文庫)
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晩冬・春先
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前後の文章を含んだ引用
......流れこむ。五か月の長い厳冬を牛のように忍耐強く辛抱しぬいた北人の心に、もう少しでひねくれた根性にさえなり兼ねた北人の心に、春の約束がほのぼのと恵み深く響き始める。 朝晩の凍 み方はたいして冬と変わりはない。ぬれた金物がべたべたと糊 のように指先に粘りつく事は珍しくない。けれども日が高くなると、さすがにどこか寒さにひびがいる。浜べは急に景気づいて、納屋の中からは大釜 や締框 がかつぎ出され、ホック船やワク船をつとのようにおおうていた蓆 が取りのけられ、旅烏 といっしょに集まって来た漁夫たちが......
単語の意味
凍みる(しみる)
指先(ゆびさき)
凍みる・・・気温がとても低く、体の芯まで寒いと感じること。非常に冷え込むこと。
指先・・・手や足の、指の先端。指の先っぽ。指頭(しとう)。指端(したん)。
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雪解けの清冽な水が土壌を洗う春
奥泉 光 / 石の来歴 amazon
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アケビの蔓の、花は明るい紫色だ。 もちろん、そのときは木の名前なんか知らない。ただ、「きれいだなあ」と、夜が近づきあたりが見えなくなるのを惜しむばかりだった。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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蛙は体を凍てつかせて地中に眠り、兎は白い衣に着替える
高橋三千綱 / 涙 amazon
落葉松の小枝から霧氷がぱらぱら散って、桜の落花のよう
川端康成 / 掌の小説 amazon
快かった風が冷たい冬の棘に変わる
連城三紀彦 / 一夜「日曜日と九つの短篇」に収録 amazon
正月が雪を率いて注連飾りの都を白くする
夏目漱石 / 門 amazon
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