TOP > 人物表現 > 動作・仕草・クセ > 泣く・涙を流す
心のうちには、非常な難所を通って往き着かなくてはならぬ所へ往き着いたような、力の弛 みと心の落着きとが満ちあふれて、そのほかのことは何も意識に上らず、備後畳 の上に涙のこぼれるのも知らなかった。
森鴎外 / 阿部一族 ページ位置:14% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
冷静・落ち着く
荒れた気持ちが穏やかになる
上の空・心ここにあらず
泣く・涙を流す
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......あったが、忠利はこの詞 とともに二度うなずいた。 長十郎は「はっ」と言って、両手で忠利の足を抱 えたまま、床の背後 に俯伏 して、しばらく動かずにいた。そのとき長十郎の心のうちには、非常な難所を通って往き着かなくてはならぬ所へ往き着いたような、力の弛 みと心の落着きとが満ちあふれて、そのほかのことは何も意識に上らず、備後畳 の上に涙のこぼれるのも知らなかった。 長十郎はまだ弱輩で何一つきわだった功績もなかったが、忠利は始終目をかけて側近 く使っていた。酒が好きで、別人なら無礼のお咎 めもありそうな失錯 をしたことがあるのに......
単語の意味
弛み(たるみ)
弛む2(たゆむ)
弛み・・・ぴんと張っていた物や気持ちがゆるむこと。
弛む2・・・いやになって、心の緊張がゆるむ。努力を怠る。なまける。
ここに意味を表示
「冷静・落ち着く」の表現・描写・類語(安心するのカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
荒れた気持ちが穏やかになるの表現・描写・類語(安心するのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(不安が消える)パルコの光が優しく見えたのは初めてだった。《…略…》井の頭線の車内から見える夜景を美しいと思える余裕すらあった。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
上の空・心ここにあらずの表現・描写・類語(その他の気分のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
泣く・涙を流すの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ひとりで畳をかきむしって泣きました。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
彼は、突如火がついたように泣き出した。 みんな、あっけにとられて黙った。 異常な泣き方だった。まるでこの世に本当に絶望した大人みたいだった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
蒲団を頬までずり上げると、静かに息を殺して泣き出していた。
林芙美子 / 新版 放浪記
このカテゴリを全部見る
「心」の言葉を含む安心の表現(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
初秋の陽ざしのように心がおだやか
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「安心する」カテゴリからランダム5
望外ともいえる和解金は、きりきりと張り詰めていた精神を解放し、これ以上無いほど弛緩させた。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
嘔吐感が、港一の荒くれ者の船に乗った時の五倍
又吉 直樹 / 火花 amazon
大きな口を開け、椅子にのけぞるようにして笑った。口に入れたばかりのハンバーグの肉塊と白いごはん粒とが、赤黒い舌の上で混ざり合っているのが見えた
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「泣く」カテゴリからランダム5
まどかが布団の上で全身の力を振り絞って泣き喚いていた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「その他の気分」カテゴリからランダム5
同じカテゴリの表現一覧
安心する の表現の一覧
動作・仕草・クセ の表現の一覧
泣く の表現の一覧
その他の気分 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ