梅雨期の、雨の晴れ間特有の、あぶらっこい陽射し

この梅雨はすべての表面も根も腐らせてしまうほど 陰鬱 なものだ

梅雨に入って雨ばかり降っている。朝も夜もなく空は灰色に暗く沈んで、一日中部屋の明かりを消すことができない。雨の音は耳鳴りのように絶え間なく、頭の奥で響いている。本当に夏が近付いているのだろうかと、不安になるくらい冷たい雨だ。

梅雨入りしたもののすぐに中休みとなり、今日は昼前からいい天気になった。

（夏の雨）大粒の茹だった雨が屋根瓦を強く叩く

彼は汽車の窓から 飽かず外の景色を眺めて来た。盛夏の力というようなものが感ぜられ、彼は近頃に珍しく元気な気持になった。

夏の夕方の明るさは砂上の淡水のような肌目のこまかさで空気に溶け込み

異常だった暑さもずいぶん弱まってきた。

その夜は、集落に霧がまだ薄く凝っていて、田んぼに蛍は飛んでいなかった。

滝つぼの底のホタルの大群は光の澱のよう