暖炉のまえで並んでウイスキーを飲みながら、あまり 喋らずに夜を待った。 その待ちかたが下品でも 貪欲 でもなく、まるですごくよく晴れた朝にやはり美しいに違いない夕焼けを待っているような、来るべきものに対して 鷹揚 なよい時間だった。
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 ページ位置:36% 作品を確認(amazon)
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待つ
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前後の文章を含んだ引用
......もとても勘がよくて美しい人だった。 暖炉の使い方がよくわからない彼女を手伝って火を入れ、すすだらけになったので小さいけれど猫足の、大理石のバスに入った。 そして暖炉のまえで並んでウイスキーを飲みながら、あまり喋らずに夜を待った。 その待ちかたが下品でも貪欲でもなく、まるですごくよく晴れた朝にやはり美しいに違いない夕焼けを待っているような、来るべきものに対して鷹揚なよい時間だった。 彼女が何かに傷ついている事や、人生の中での休息の時間を取っている事がその全身から伝わってきた。 古いレースのベッドカバーをそっとはがして、私たちははじめて一緒......
単語の意味
鷹揚(おうよう)
夕焼け(ゆうやけ)
晴れ(はれ)
鷹揚・・・小さなことにこだわらずゆったりとしているさま。おっとりしていて争いとは無縁な感じ。大様(おおよう)。
夕焼け・・・大陽が沈む時、西の空が赤く染まったように見えること。太陽の光が、昼間より長い距離、空中を通って来るため、波長の短い青色の光は散乱し、波長の長い赤色や黄色の光だけが、地上に到達することで起こる現象。
晴れ・・・1.天気がいいこと。雨や霧などが伴わない天気。空に雲が少ない、もしくはまったく無い状態。
2.多くの人から注目されて、光栄に思うこと。待ちに待った、めったにない機会であること。晴れがましいこと。正式なこと。公式なこと。
3.疑いが解けて、自由になること。「晴れて自由の身になる」
2.多くの人から注目されて、光栄に思うこと。待ちに待った、めったにない機会であること。晴れがましいこと。正式なこと。公式なこと。
3.疑いが解けて、自由になること。「晴れて自由の身になる」
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「バーゲンの時って店がもう一杯でしょ。だから、彼女が服を選んでいる間、少し離れたところで彼氏たちが待ってるの。そのね、途方に暮れたような、飼い主を待つ犬のような姿がね、もう可哀想で可哀想で」
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
無心に待っている
太宰治 / 走れメロス
雛鳥のように待ってる
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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