強盗に身を落して、利欲のために人を殺してはいるものの、悪鬼のように相手の骨までは、しゃぶらなかった

食うに食えない切羽詰っての犯行

死刑宣告に処させるほどの重い犯罪

（ストーカー）あの男の粘着質な性格に雪見も嫌気が差していて、ほとんど逃げ回っていた。しつこく付きまとわれたり、一方的に手紙を送りつけられたりと、ストーカーまがいの行為

犯罪はそれを起こす者の視野が非常に狭くなってるときに生じるのが常でしてね。にっちもさっちもいかなくなったり、あるいはかっとなって我を忘れたりして凶行に及んでしまう。

坂道を転がり続けるように状況が悪化していく

どっか、暗い、人のいない隅っこに早くもぐりこんでしまいたい。世の中が変ってしまうまで寝通したい。

自分の乗った船はいつでも相客（あいきゃく）もろともに転覆して沈んで底知れぬ泥土（でいど）の中に深々ともぐり込んで行く

酒びたり

こうした（自分の）ケガ、病気、不幸のすべてを、おれは楽しんできた。楽しめるのは、結局おれが自分の存在を周囲から他人のようにながめているからだろう。ながめているおれは、愚行を演じているおれを見て苦笑いしている。バナナの皮ですべって転んでいる男と、それを見て笑っている男が、同時におれの中にいるのだ。苦痛に対する耐性を得るために、無意識のうちに自分をふたつに裂いたのかもしれない。