ベッドで寝ている弟は、胸が痛くなるような目をしていた。 それは捨て猫なんかの無邪気だから痛々しいというのと違って、もっともっとどうしてやりようもない、個人の身に余る重みを抱えているであろうことがわかりすぎる、そういうかわいそうな感じだった。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:46% 作品を確認(amazon)
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憐れ・同情・かわいそう
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前後の文章を含んだ引用
......べてきてよ、そう言う母のまなざしには「こうなったのはおまえにも責任がある」と言わんばかりの含みがあった。私は、いいとも、まかせてよと言って、弟の部屋へ行った。 ベッドで寝ている弟は、胸が痛くなるような目をしていた。 それは捨て猫なんかの無邪気だから痛々しいというのと違って、もっともっとどうしてやりようもない、個人の身に余る重みを抱えているであろうことがわかりすぎる、そういうかわいそうな感じだった。 しかし私の「楽しい」パワーはそんなことに大して動じようとしなかった。「ごはん食べに行こうよ。」 私が笑いながら言うと、「行きたくないよ、今の元気な朔ちゃんは、......
単語の意味
無邪気(むじゃき)
胸(むね)
猫(ねこ)
無邪気・・・素直で悪気がなくかわいらしいさま。偽りやたくらみがなく心が綺麗なさま。
猫・・・1.ネコ科の哺乳動物の総称。形は虎に似て、柔軟な体や出入り自由な爪、鋭い感覚のひげを足を持つ。暖かいところを好み、鼠(ねずみ)をよく捕るとされる。
2.(猫の皮を胴張りに用いるところから)三味線の異称。
3.猫車(ねこぐるま)の略。
4.猫火鉢(ねこひばち)の略。
5.ふいごの内側についていて、空気の出る孔をふさぐ革。
2.(猫の皮を胴張りに用いるところから)三味線の異称。
3.猫車(ねこぐるま)の略。
4.猫火鉢(ねこひばち)の略。
5.ふいごの内側についていて、空気の出る孔をふさぐ革。
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「憐れ・同情・かわいそう」の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
自分は同情を抱いているのだということを示すために、たくみに眉をひそめて、いたみの表情をつくってみせた。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
「困るね」と東風君が気の毒そうに調子を合わせる。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
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胸で悲しみを感じるときの表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(返ってくるはずのない父を待って)何台ものバスが過ぎた。乗客は次第に減って行った。一台をやりすごすたびに、恭一の心もうつろになって行った。からっぽのバスが来ると、胸もからっぽになった。
浅田次郎 / 角筈にて「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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