彼女の美しさは成熟した女性のそれへと変化していた。以前の彼女の美しさのかげに見えかくれしていたある種の鋭さ――人をふとひやりとさせるあの薄い刃物のような鋭さ――はずっとうしろの方に退き、そのかわりに優しく慰撫するような独特の静けさがまわりに漂っていた。そんな美しさは僕の心を打った。《…略…》それでも彼女が失ってしまったもののことを考えると残念だという気がしないでもなかった。あの思春期の少女独特の、それ自体がどんどん一人歩きしてしまうような身勝手な美しさとでも言うべきものはもう二度と戻ってはこないのだ。

（真佐子の）身体の縒（よじ）り方一つにも復一は性の独立感を翻弄（ほんろう）されそうな怖（おそ）れを感じて

どこもかしこも丸くたるんだその体もあまい匂いがして好きだった。

すでに若さをうしない、乳房ばかりが奇型的に豊満な……見ようによっては、いかにも女の典型のごとき女そのもの

からだが狡猾な猫のように妖しい媚態で動き出す

十キロ近く痩せたようで、作り笑顔こそ見せるものの、そこには以前のパワーは宿っていなかった。何か病気をして痩せた人のように見える。

古風なスカートのように肥って沈黙った女

筋肉の鎧を着た

細い後ろ姿。一本の線になって消えてゆきそうな小ささ。

座った上半身の高さや折れ曲がった両足の余り具合から、長身であるのは分かった。