パームツリーやイチジクの木の緑には、 微睡むような白んだ光が注いでいる。足下の芝生に落ちている影に目を遣りながら、洋子は、それが決して単なる黒ではない、様々な色を持っていることを改めて知った。

午後のやや傾いた日が、湖面に淡い明るみを流す

日よけは、重い金塊を支えるように緊張して激しい直射日光を支えている

子供の爪の先きが人の肉体をこそこそと掻きおろしてくるようなきつい温かさを含んだ日光

ただでさえきらきらしている薬指の指輪は、太陽の光でもっと輝く。

（庭のデッキ・チェアに座って）じっと目を閉じていると、体の様々な部分に汗が浮かんでいるのが感じとれた。額や鼻の下や首に、まるで湿った羽毛か何かをのせられたような微かな違和感があり、Ｔシャツは風のない日の旗のようにだらりと僕の胸にしなだれかかっていた。太陽の光は奇妙な重みを持って、僕の体に注いでいた。

昼すぎに雪はやんだ。降りはじめた時と同じような唐突なやみ方だった。ぶ厚い雲が粘土のようにところどころでちぎれ、そこから差し込む陽光が壮大な光の柱となって草原のあちこちを移動した。素晴しい眺めだった。

空の底が突き抜けたような天気

雲ひとつない深い空は、いちめんほのおのように大きくうずまき

空は青ペンキを撒いたかのように綺麗な青色をしていて、逃げ遅れた小さな雲が、西の方に浮かんでいるだけだった。