(巨大な白い壁)視界が白で埋まる。牢獄の壁の前で、囚人のように、白い壁を見上げた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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崖・谷・断崖絶壁
塔・高層建築物
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前後の文章を含んだ引用
......界で、全て明るみにしてしまう。私は光にまみれていた。 やがて、行き止まりのような巨大な壁の前でしゃがみこんだ。 ここまで走ってきたせいもあり、激しく咳き込んだ。視界が白で埋まる。牢獄の壁の前で、囚人のように、白い壁を見上げた。 出口がない。黒い世界に沈んでも、外の世界へ走り出そうとしても、私たちはこの白い世界へ引きずり戻される。 吐き気がこみ上げ、私は慌ててハンカチで口を押さえた。少......
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崖・谷・断崖絶壁の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
標高差三百三十メートル。東京タワーの高さの垂直の岩壁
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
薄茶の羊歯(しだ)が山の体毛のように下がる崖
伊集院 静 / 三年坂 amazon
岡本かの子 / 金魚撩乱
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塔・高層建築物の表現・描写・類語(家・建物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(古びた見張り台)ひっそりと立つ塔の姿は、寂しげで、老いた人間のようだった。老年期を迎えた人間が「誰もわたしを覚えちゃいない」と呟く姿を思わせた。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
中世の城のような賑やかな重層感をもって聳え立つ建造物
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
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「地上・陸地」カテゴリからランダム5
(タクラマカン砂漠)あそこの砂はパウダー状で軽くて実体がなくて、それがもう四方八方見渡す限りどこまでも広がってる。自分の身体なんてあっという間に砂に同化して風に飛ばされてしまいそうな気がするんだ。あの砂漠では誰でも死について考えてしまう。というより、皮膚がひりひりするくらいに直接死を感じてしまうんだ。絶対零度の孤独って吐き気にちょっと似てるよね――
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
狭い庭の先に紙捻(こよ)りを植えたような桑畑
長塚 節 / 土 amazon
「家・建物」カテゴリからランダム5
見るからに奇妙な家だった。感じが悪いわけでも寒々しいわけでもなく、とくに変った建てかたをしてあるわけでもなく、どうしようもないほど古びているわけでもない。ただ──奇妙だった。それはうまく感情表現できないまま年老いてしまった巨大な生き物のように見えた。どう表現すればいいのかではなく、何を表現すればいいのかがわからなかったのだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
日覆いの下に濃い陰に取り込められ
岡本かの子 / 巴里祭
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