TOP > 人物表現 > 思考・頭の中の状態 > 祈る・願う
あの祈りは心の底から出たものではなかったと思う。あれは司祭としての義務から唱えたものだった。だから苦い食物の 糟 のようにこの舌の先にまだ残っている。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:78% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
祈る・願う
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......ったにちがいないのだ。「こげん世の中に……こげん世の中に」司祭は耳に指を入れ、犬の悲鳴のようなその声に耐える。 自分は先程キチジローのため許しの祈りを呟いたが、あの祈りは心の底から出たものではなかったと思う。あれは司祭としての義務から唱えたものだった。だから苦い食物の糟のようにこの舌の先にまだ残っている。キチジローにたいする恨みはもう消えてはいても、自分を売るためにあの男が食べさせた干魚の臭いや、焼きつくような渇きの思い出は記憶の中にふかく刻みこまれている。怒り......
ここに意味を表示
祈る・願うの表現・描写・類語(思考・頭の中の状態のカテゴリ)の一覧 ランダム5
男女の(祈りの)声は噴水のようにたち上り消えていく。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
祈りは歯をかたく閉じた病人の口から水がこぼれるように、 空疎 に唇をかすめただけだった。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
司祭の唇から小石のように祈りの言葉が出た
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
君の上にも確かに、正しく、力強く、永久の春がほほえめよかし‥‥僕はただそう心から祈る。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
わたしはずっと天使のようにいちずに願い続けている。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「思考・頭の中の状態」カテゴリからランダム5
(ぼんやりとしたイメージ)それは、はかない色合いの水彩画のようなものとして浮かび上がってきた。形を確かめようと目を凝らしても、薄い色の流れが見えるだけだった。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
「え……?」尋恵は意表を衝かれて、思考が空転した。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
自分をどこかもうちょっと上の方から眺めてる構図を作ってみる。
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
(頭が真っ白で何も聞こえない状態からの回復)彼女を包んでいた空白が消滅し、栓がとれたみたいにまわりの騒音が一挙に戻ってきた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
その犯人の姿を思い出し、可能性を次々と列挙していく。自分たちの取るべき行動と、起こりうる事態を想像してみる。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
思考・頭の中の状態 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ