「あーあ」と誰かが 溜息 をした。私はこれほど単純な絶望の声を聞いたことがない。それはかなり太くて低い、しかし響のない乾いた声で、長く後を引いた。七人の仲間の誰が放った声か、推測することは出来なかった。それほどそれは人間の声と似ていなかったのである。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:18% 作品を確認(amazon)
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嘆き・嫌でため息をつく
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前後の文章を含んだ引用
......俺あお前がいやになった」「ふん、いやなら勝手にしやがれ」と安田は打ち切るようにいったが、少したって「だから、あいつと一緒に死ぬっていってるじゃねえか」と呟いた。「あーあ」と誰かが溜息をした。私はこれほど単純な絶望の声を聞いたことがない。それはかなり太くて低い、しかし響のない乾いた声で、長く後を引いた。七人の仲間の誰が放った声か、推測することは出来なかった。それほどそれは人間の声と似ていなかったのである。「まあ、な」と安田の声がまた聞えた。「まあお前もなるたけ俺のそばにいるがいい。出来るだけなんとかしてやるからな」「ほんとか、おっさん。でも……」「でも、なんだ」......
単語の意味
溜め息・溜息・ため息(ためいき)
溜め息・溜息・ため息・・・気苦労や失望、また、感動したときや緊張がとけたときに、思わず出る大きな息。大息(おおいき・たいそく)。長息(ちょうそく)。
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まるでトンカチで殴られたみたいに急に、そして生々しく苦しく、あのグレーの空と悲しい気持ちがむわっとこみあげてきた
よしもとばなな / 銀の月の下で「まぼろしハワイ」に収録 amazon
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極度の疲労困憊 は、さながら生きているミイラのようだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
気持にも 身体 にも異常な疲労が来た。彼はもう何も考えられなかった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
親切心かどうか知らないが、それにもほどがあるだろう。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
それを思うと、武内は 馬鹿らしくなって、ひとり天井を見つめたまま薄笑いを浮かべた。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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