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ただそれだけの眺めであった。どこを取り立てて特別心をくようなところはなかった。
梶井基次郎 / 城のある町にて ページ位置:18% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......入江を見るのが癖になっていた。  海岸にしては大きい立木が所どころ繁っている。その蔭にちょっぴり人家の屋根がのぞいている。そして入江には舟がもやっている気持。  それはただそれだけの眺めであった。どこを取り立てて特別心をくようなところはなかった。それでいて変に心が惹かれた。  なにかある。ほんとうになにかがそこにある。と言ってその気持を口に出せば、もう空ぞらしいものになってしまう。  たとえばそれを故のない......
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