薄暮の空に、時どき、数里離れた市で花火をあげるのが見えた。気がつくと綿で包んだような音がかすかにしている。それが遠いので間の抜けた時に鳴った。
梶井基次郎 / 城のある町にて ページ位置:24% 作品を確認(青空文庫)
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遠くの音
打ち上げ花火
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前後の文章を含んだ引用
......た。 遠い物干台の赤い張物板ももう見つからなくなった。 町の屋根からは煙。遠い山からは蜩 。 これはまた別の日。 夕飯と風呂を済ませて峻 は城へ登った。 薄暮の空に、時どき、数里離れた市で花火をあげるのが見えた。気がつくと綿で包んだような音がかすかにしている。それが遠いので間の抜けた時に鳴った。いいものを見る、と彼は思っていた。 ところへ十七ほどを頭 に三人連れの男の児が来た。これも食後の涼みらしかった。峻に気を兼ねてか静かに話をしている。 口で教えるの......
単語の意味
薄暮(はくぼ)
薄暮・・・夕暮れ。日が暮れること。
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遠くの音の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
犬がしきりに 吠える声が雑木林を通して聞えてきた
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
松影に声は距 てられながら
岡本かの子 / 雛妓
憐れな声が糸のように浮いて来る。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
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打ち上げ花火の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
よく晴れた夜空を覆い尽くすように、巨大な菊型の花火が炸裂した。手を伸ばせば届きそうなほどの近さだった。光の玉が一瞬のうちに視野いっぱいにまで広がってゆく。きらきらとした火の粉が今にも顔面へ降りかかってきそうだった。横に目をやると、浅倉佐知子が瞳を大きく開けて空を見つめていた。花火が赤や緑へと色彩を変えるたびに、菊や滝が空一面に広がるたびに、浅倉の頬は様々な色に変化していった。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
ひとり夜更けの河畔を歩いていると、なにやら音がして振り返った。夜空に花火がひとつ上がっていた。
宮本輝 / 二十歳の火影 amazon
舞台とは反対の方面で、しきりに花火を揚げる。花火の中から風船が出た。帝国万歳とかいてある。天主の松の上をふわふわ飛んで営所のなかへ落ちた。次にぽんと音がして、黒い団子が、しゅっと秋の空を射抜くように上がると、それがおれの頭の上で、ぽかりと割れて、青い煙が傘の骨のように開いてだらだらと空中に流れ込んだ。風船がまた上がった。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
吉川英治 / 銀河まつり
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「夏」カテゴリからランダム5
吉川英治 / 銀河まつり
あんまりお天陽様が強いので、何もかもむき出しにぐんにゃりしている。
林芙美子 / 新版 放浪記
「空・中空」カテゴリからランダム5
よく晴れた夜空を覆い尽くすように、巨大な菊型の花火が炸裂した。手を伸ばせば届きそうなほどの近さだった。光の玉が一瞬のうちに視野いっぱいにまで広がってゆく。きらきらとした火の粉が今にも顔面へ降りかかってきそうだった。横に目をやると、浅倉佐知子が瞳を大きく開けて空を見つめていた。花火が赤や緑へと色彩を変えるたびに、菊や滝が空一面に広がるたびに、浅倉の頬は様々な色に変化していった。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
「音の響き」カテゴリからランダム5
どこかで銃声が鳴った気がした。《…略…》車のバックファイアーの音にも聞こえた。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
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