部屋の電気のスイッチを入れた。窓ガラスについた雨の雫が、白く光って見えた。

風はまだやまず、窓ガラスは雨つぶのために曇りながら、またがたがた鳴りました。

大きな硬い雨粒が鹿を撃つ散弾のように、窓ガラスをばらばらと叩き続けていた。

ガラスに点々と付着した雨滴

雨が道路を殴りつける音が、入り口のガラス戸を突き破るほど

雪の凍みる音が鈴のようにきこえるのだ。

滲み出るように雪の粉が次から次へと下界へ急いでいた。

雪を踏むと、キュッキュッとでんぷんを袋ごと押すような乾いた音をたてる

粉のような雪が緩やかに、絶え間なく空から降りてくる

みだれた雪の肌理が微かに光る

塔の屋根には霜が下りているせいであろう。まだうすい朝日に、九輪（くりん）がまばゆく光っている。

ときおり、風にあおられた雪片が屋根や壁やガラス窓に強くぶつかっていく音を聞いていた。

氷を粉末にしたような霜が固まる

小さな小さな乾いた雪のこなが少しばかりちらっちらっと二人の上から落ちて参りました。

雪の上を歩くとキュッキュッと澱粉を踏んだような音がする

雨は休みなく貯水池の上に降り注いでいた。雨はひどく静かに降っていた。新聞紙を細かく引き裂いて厚いカーペットの上にまいたほどの音しかしなかった。クロード・ルルーシュの映画でよく降っている雨だ。

雨が真っ青な空の、消えそうに白い雲から、光の中を降り注いできた。光のかけらかと思った。次々に大地を 濡らし、私たちの髪、色の違う黒と金の髪にも降ってきた。あでやかなもののようにきっぱりと冷たい影を落として、暖かい空気の中、その雨は落ちてきた。この美しい風景をサーチライトで照らすように、光の領域を 一瞥 しているように静かな雨だった。何もかもがきらきらと甘く見え、風景は 潤い、あまりの気持ちよさとまぶしさに自分が泣いているのかと思ったが、天からの水分がほほをつたっているだけだった。

葉は、冷たい汗をかいたように朝露にびっしりと濡れている

どしゃぶりの雨は西むきの硝子窓の敷居の中にまでいっぱい吹きこんで川のようにたまる。

靄（もや）が下りていた。何時も厳しく機械的に組合わさっている通風パイプ、煙筒（チェムニー）、ウインチの腕、吊（つ）り下がっている川崎船、デッキの手すり、などが、薄ぼんやり輪廓をぼかして、今までにない親しみをもって見えていた。柔かい、生ぬるい空気が、頬（ほお）を撫（な）でて流れる。