口は嘴みたいに尖り、もうイカに向かって開いている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:25% 作品を確認(amazon)
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食べる
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前後の文章を含んだ引用
......いつもビールの最初の一口だけで、あとは目に膜がかかって妙に無表情になる。陣治の好きなゲソの塩焼きは結局出ない。イカの刺身を醤油のなかで二転三転させながら、陣治の口は嘴みたいに尖り、もうイカに向かって開いている。それだけのことで、十和子は胸いっぱいに灰が詰まっているような気分になる。「ここはもひとつやで。こんな店に来るぐらいやったら、駅までもどって洋食屋でも探したらよか......
単語の意味
烏賊・柔魚(いか)
烏賊・柔魚・・・ツツイカ目とコウイカ目の軟体動物の総称。触腕(しょくわん)が1対、足が4対の計10本が口の周りにある。4対の足は多くの吸盤を具える。1対の触腕は非常に長く、先端だけに吸盤があって、伸ばして餌をつかむ。敵に会うと腹の中の墨を吹き出し、敵の目をあざむき逃げる。食用。「墨魚(ぼくぎょ)」とも。
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