海岸から道路をひとつ隔てた広い敷地に、その療養所は建っていた。もともとは財閥関係者の別荘だったものが、生命保険会社の厚生施設として買い取られ、それがまた近年になって主に認知症患者を扱う療養所に変えられた。だから古い趣のある木造の建物と、新しい三階建ての鉄筋の建物が混在して、見るものにいくぶんちぐはぐな印象を与える。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 作品を確認(amazon)
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病院
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単語の意味
幾分(いくぶん)
趣(おもむき)
隔てる(へだてる)
幾分・・・全体のうちの一部。ちょっと。少しだけ。
趣・・・しっとりと落ち着いて、心惹かれる特徴や雰囲気。そのものがもっている、自然とかもし出される(いい)雰囲気。ずいぶん昔のものなのに、手入れがされているさま。風情(ふぜい)。
隔てる・・・間に何か置く。間に何か置いて交流や行き来できないようにする。時間的、空間的に間をあける。
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病院の窓々にはうるんだ灯がともり、港にはいる満艦飾の船のように見えた
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
病院は決して楽しい場所ではない。整然と清潔にされすぎていて、ロビーですらどこかに緊張感を含んでいる。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
(病院は)まるで大きな墓みたいだ。
椎名 麟三 / 永遠なる序章 amazon
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無影燈のまぶしい青白い光も、海草のようにゆっくり動いている白い手術着をきた人間たちの姿も
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
白い角砂糖のような病院の建物
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
(病院は古めかしい木造の建物で)病院特有の強い消毒液の匂いはなく、そのかわり汗と果実のまじりあったような臭気に満ちていた。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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