近くに寄せる浪のうねりは琅玕 の練りもののように、悠揚と伸び上って来ては、そこで青葉の丘のようなポーズをしばらく取り、容易には崩れない。浪間と浪の陰に当るところは、金沙 を混ぜた緑礬液 のように、毒と思えるほど濃く凝って、しかもきらきら陽光を漉 き込んでいる。
岡本かの子 / 河明り ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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波
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前後の文章を含んだ引用
......を吹き、再生産されたことは推測されましょう」 木下はなお南洋の海に就 いて語り続ける。 遠い水は瑠璃色 にのして、表面はにこ毛が密生しているように白っぽくさえ見える。近くに寄せる浪のうねりは琅玕 の練りもののように、悠揚と伸び上って来ては、そこで青葉の丘のようなポーズをしばらく取り、容易には崩れない。浪間と浪の陰に当るところは、金沙 を混ぜた緑礬液 のように、毒と思えるほど濃く凝って、しかもきらきら陽光を漉 き込んでいる。片帆の力を借りながら、テンポの正規的な汽鑵 の音を響かせて、木下の乗る三千噸 の船はこの何とも知れない広大な一鉢の水の上を、無窮に浮き進んで行く。舳 の斜の行手に浪か......
単語の意味
悠揚(ゆうよう)
陽光(ようこう)
凝る(こる・こごる)
青葉(あおば)
うねり(うねり)
暫く・姑く・須臾(しばらく)
悠揚・・・ゆったりと落ち着いているさま。慌しくなく、ゆとりがあるさま。
陽光・・・空から降り注ぐ、太陽の光。日光。
凝る・・・1。ある物事に度を越して心がとらわれる。熱中して打ち込む。ふける。(こる)
2.体が部分的に血行不良になり、筋肉が張った感じになる。(こる)「肩がこる」
3.細かいところまでいろいろと工夫する。趣向を凝らす。(こる)
4.一箇所に集まって、固まる。(こる・こごる)
5.液状のものが冷えて、ゼリーのように固まる。(こごる)
2.体が部分的に血行不良になり、筋肉が張った感じになる。(こる)「肩がこる」
3.細かいところまでいろいろと工夫する。趣向を凝らす。(こる)
4.一箇所に集まって、固まる。(こる・こごる)
5.液状のものが冷えて、ゼリーのように固まる。(こごる)
青葉・・・青々とした草木の葉。とくに、初夏のころの青々とした木の葉。新緑。
うねり・・・うねること。
1.大きく緩やかに曲がりくねること。大きく緩やかに上がったり下がったりすること。
2.1の状態が続くこと。1の状態がとどめ難い勢いで攻めてくること。「感情のうねり」「業界再編のうねりの中で」
1.大きく緩やかに曲がりくねること。大きく緩やかに上がったり下がったりすること。
2.1の状態が続くこと。1の状態がとどめ難い勢いで攻めてくること。「感情のうねり」「業界再編のうねりの中で」
暫く・姑く・須臾・・・1.長いと感じるほどではないが、すぐともいえないほどの時間。ちょっとの間。一時的。
2.ちょっと待った!
2.ちょっと待った!
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波の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
どどう どどう と波が村じゅうを包んでいるようでした。沖を見ると、波は暴れて、白馬になって走っていました。
壺井栄 / 母のない子と子のない母と amazon
波が、首でもすくめるように揺れる
椎名 麟三 / 美しい女 amazon
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「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
まっ青な平らな平らな湖水の上に立ってゐることに気がつきました。けれどもそれは湖水だったのでせうか。いゝえ、水ぢゃなかったのです。硬かったのです。冷たかったのです、なめらかだったのです。それは実に青い宝石の板でした。
宮沢賢治 / ひかりの素足
底のほうで鳴っているような重い海の響き
原田 康子 / 挽歌 amazon
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