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(サイパンで聞いた歌に感動)聞いているだけで溶けていきそうだった。それなのに心のどこかが緊張して、連れていかれまいと涙をこらえるような、なつかしい、めくるめく感情の 堰 を、自分の中に感じる。ここで流れていったら、美しいものを知りすぎてしまう怖さで固くなる。 しかし、聴いているうちに有無を言わさず、暴力的でかつ柔らかいその歌声に解放されて、サイパンの鮮やかな夜の中に自分は流れ出している。 いつまでもここにいたい、
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:28% 作品を確認(amazon)
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俳句・短歌・詩
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前後の文章を含んだ引用
......コズミくんのへたくそだが味のある音色のギター伴奏で、させ子は次々に歌った。 たしかビリー・ホリディの無名の歌と、とにかく古い、甘い歌を何曲も。はまりすぎていて、聞いているだけで溶けていきそうだった。それなのに心のどこかが緊張して、連れていかれまいと涙をこらえるような、なつかしい、めくるめく感情の堰を、自分の中に感じる。ここで流れていったら、美しいものを知りすぎてしまう怖さで固くなる。 しかし、聴いているうちに有無を言わさず、暴力的でかつ柔らかいその歌声に解放されて、サイパンの鮮やかな夜の中に自分は流れ出している。 いつまでもここにいたい、 親も、兄弟も、恋人も。 みんないらない、みんなここにいるようだから。 いつまでもこの空間に、一度きりの生の音のなかで泳いでいたい。 誰もがそう思う。そういう天......
単語の意味
目眩く(めくるめく)
目眩く・・・目がくらむ。めまいがする。あまりに素敵で理性を失う。
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俳句・短歌・詩の表現・描写・類語(趣味・娯楽のカテゴリ)の一覧 ランダム5
詩って小説にない小説の息みたいなものなのね
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
私の詩がダダイズムの詩であってたまるものか。私は私と云う人間から煙を噴いているのです。イズムで文学があるものか! 只、人間の煙を噴く。私は煙を頭のてっぺんから噴いているのだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
ノートには、きっと日々抱いている想いのかけらが詰まっている
朝井 リョウ / 燃えるスカートのあの子「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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感動するの表現・描写・類語(感動のカテゴリ)の一覧 ランダム5
身のおき場のないほど感激して
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
体が風船のように膨れていく感動
高森 和子 / 母の言いぶん amazon
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「感」の言葉を含む感動の表現・描写・類語(感動のカテゴリ)の一覧 ランダム5
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感動で涙が出るの表現・描写・類語(感動のカテゴリ)の一覧 ランダム5
男らしい君の胸をぎゅっと引きしめるようにして、熱い涙がとめどなく流れ始めた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
目は感激の涙に漂っていた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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「感動」カテゴリからランダム5
意識はばらばらになってしまった。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
「趣味・娯楽」カテゴリからランダム5
テレビをつけた。ほぼ無音だった空間に、女のしゃべり声と電子的な音楽がたちあがった。
羽田 圭介 / スクラップ・アンド・ビルド amazon
(有名人のネット検索で出る称賛と批評(罵倒))〈蒔野聡史 ギター〉とネットで検索してみたことがあった。それは、彼の内面の引き出しをこっそり覗き見るような感覚で、その度に、彼女は 居た堪らない気持ちになって、出て来たページをそっと閉じるのだった。 香り豊かな溢れんばかりの花々のそこかしこには、いつか彼が怪我をするのを待っている釘やガラス片が紛れていた。ありとあらゆる賛辞が鮮やかに咲き誇っている一方で、量こそ劣るものの、一つ一つがやけにしつこく記憶に刻まれてしまう批判や中傷の類も、鋭利に輝いていた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
僕はすれちがう人々の顔を眺めて歩いた。何千という数の人々が僕の目の前に現われては消えていった。彼らは一方の意識の辺境から他方の意識の辺境ヘと移動しているように僕には感じられた。
村上春樹 / 双子と沈んだ大陸「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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