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深い霧のなかを影法師のように過ぎてゆく想念がだんだん分明になって来る。  彼の視野のなかで消散したり凝聚ぎょうしゅうしたりしていた風景は、ある瞬間それが実に親しい風景だったかのように、またある瞬間は全く未知の風景のように見えはじめる。そしてある瞬間が過ぎた。――喬にはもう、どこまでが彼の想念であり、どこからが深夜の町であるのか、わからなかった。暗のなかの夾竹桃はそのまま彼の憂鬱であった。物陰の電燈に写し出されている土塀、暗と一つになっているその陰影。観念もまたそこで立体的な形をとっていた。  たかしは彼の心の風景をそこに指呼することができる、と思った。
梶井基次郎 / ある心の風景 ページ位置:10% 作品を確認(青空文庫)
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雑念・思いが頭に浮かぶ 憂鬱・気分が晴れない
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前後の文章を含んだ引用
......かれている蒲団。喬はそんななかで青鷺あおさぎのように昼は寝ていた。眼が覚めては遠くに学校の鐘を聞いた。そして夜、人びとが寝静まった頃この窓へ来てそとを眺めるのだった。  深い霧のなかを影法師のように過ぎてゆく想念がだんだん分明になって来る。  彼の視野のなかで消散したり凝聚ぎょうしゅうしたりしていた風景は、ある瞬間それが実に親しい風景だったかのように、またある瞬間は全く未知の風景のように見えはじめる。そしてある瞬間が過ぎた。――喬にはもう、どこまでが彼の想念であり、どこからが深夜の町であるのか、わからなかった。暗のなかの夾竹桃はそのまま彼の憂鬱であった。物陰の電燈に写し出されている土塀、暗と一つになっているその陰影。観念もまたそこで立体的な形をとっていた。  たかしは彼の心の風景をそこに指呼することができる、と思った。  どうして喬がそんなに夜更けて窓に起きているか、それは彼がそんな時刻まで寝られないからでもあった。寝るには余り暗い考えが彼を苦しめるからでもあった。彼は悪い病......
単語の意味
憂鬱(ゆううつ)
陰影・陰翳(いんえい)
風景(ふうけい)
深夜(しんや)
憂鬱・・・気分が落ち込んだ状態。重苦しい気分。メランコリー。
陰影・陰翳・・・1.影のこと。日が当たっていない暗いところ。
2.1が転じて、具体的に説明されていない部分。味わうことで理解できる、変化や含み。ニュアンス。「陰影に富む文章」
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
深夜・・・真夜中。夜更け。深更(しんこう)。
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心は悪鬼のように憂に渇いている。
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決しての楽しむ事のない絶望的な憂鬱
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
ソファに腰を下ろすと、放したように 項垂れた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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