目に見えぬ糸で操られているような人生

幻覚の中を歩いているように日が過ぎる

吉凶禍福の予想しがたい人生

無邪気な坊ちゃん坊ちゃんした清純な生涯

人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆（もろ）さと脆さによって繫がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。

過労死しそうなくらい働く

「これが人生だ。」 　という 呪文 は案外よく効く。何回か口に出して言ってみる。何となく自分でも納得する。

祖母にしろ、おとよさんにしろ、みんな暮したいようには暮していない。それでも生きつづけてはいる。どんよりと蠢（うごめ）きながら暮している。

空想の虹に背を向ける

みんながめいめいじぶんの神（かみ）さまがほんとうの神さまだというだろう、けれどもお互（たが）いほかの神（かみ）さまを信（しん）ずる人たちのしたことでも涙（なみだ）がこぼれるだろう。それからぼくたちの心がいいとかわるいとか議論（ぎろん）するだろう。そして勝負（しょうぶ）がつかないだろう。