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やがてすすり泣きが聞こえてきた。最初それが彼の口から聞こえているとは気付かず、部屋のどこかで壊れたオルゴールが鳴っているのかと錯覚したほどだった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:54% 作品を確認(amazon)
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泣く・涙を流す
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......かあやふやな場所をさ迷っているようだった。数字の秘密を解き明かしている時のひた向きさは去り、ルートに示す親愛の情は名残りさえなく、全身から生気が失われていた。 やがてすすり泣きが聞こえてきた。最初それが彼の口から聞こえているとは気付かず、部屋のどこかで壊れたオルゴールが鳴っているのかと錯覚したほどだった。ルートが手を切った時耳にしたのとは種類の違う、誰のためでもない、ただ自分一人きりのための、ひっそりとした泣き声だった。 一番目立つ場所に留められたメモ、上着を羽......
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泣く・涙を流すの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
涙がするすると流れ出た。
岡本かの子 / 渾沌未分
蒲団を頬までずり上げると、静かに息を殺して泣き出していた。
林芙美子 / 新版 放浪記
彼女は心の底から泣いていた。演技しているようなきれいな泣き方だった。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
激流のような激しさで泣いている
林芙美子 / 新版 放浪記
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喚き声は蜘蛛の網のように十和子のまわりに張りめぐらされている。声の網を伝って、陣治という蜘蛛の粗野な卑怯さが這い進んでくる。十和子を粘液のなかに搦め捕ろうとする。搦め捕った十和子の身体を、十和子に気付かせないように端の方からちまちまとしゃぶって喰らおうとする。 声はいっそう芝居がかってくる。奇怪な痴態をこれでもかと見せ付けてくる。十和子のドアを叩いて窮状を訴えることもせず、かと言って、呻きを押し殺してひとり耐えるのでもない。その中間のどこかに罠をはって、十和子をおびきだそうとしている。陣治、どないしたん、と十和子の方から出ていくのを、下卑た期待の表情を浮かべてひそかに待ち構えているのだ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
誰にもきこえないように泣いた。
林芙美子 / 新版 放浪記
涙がうすく光っていた。
松本 清張 / 青のある断層「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
熱い涙が目をこがすように痛めて流れ出した。
有島武郎 / 或る女
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