三十分ほど進んだところでアスファルトの舗装が突然消え失せ、道幅も半分になった。両側の暗い原生林が巨大な波のように車に向ってどっと押し寄せてきた。空気の温度が何度か下がった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:75% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
山道・峠道
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......けあうのさ。羊の額は鉄みたいに固くて、中が空洞になってるんだよ」 彼女は黙って何かを考えていた。たぶん羊が額をぶっつけて闘っている光景を想像していたのだろう。 三十分ほど進んだところでアスファルトの舗装が突然消え失せ、道幅も半分になった。両側の暗い原生林が巨大な波のように車に向ってどっと押し寄せてきた。空気の温度が何度か下がった。 道はひどく荒れていて、車は地震計の針みたいに上下に揺れた。足もとに置いてあるポリタンクのガソリンが不吉な音を立て始めた。まるで頭蓋骨の中で脳味噌が飛び散ってい......
ここに意味を表示
山道・峠道の表現・描写・類語(道・道路のカテゴリ)の一覧 ランダム5
全く時代とは絶縁された峠の旧道
岡本かの子 / 東海道五十三次
峠をのぼりきった途端に、突如、上高地の美しい展望がひらける
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
峠の向こう側からやっと匍(は)い上がってきたように見える濃霧が、峠の上方一面にかぶさる
堀 辰雄 / 美しい村 amazon
バスは突然ひやりとした杉林の中に入った。杉はまるで原生林のように高くそびえたら、日の光をさえぎり、うす暗い影で万物を覆っていた。開いた窓から入ってくる風が急に冷たくなり、その湿気は肌に痛いばかりだった。谷川に沿ってその杉林の中をずいぶん長い時間進み、世界中が永遠に杉林で埋め尽くされてしまったんじゃないかという気分になり始めたあたりでやっと林が終り、我々はまわりを山に囲まれた盆地のようなところに出た。
村上 春樹 / ノルウェイの森 上 amazon
空気はひやりとして、右側に趨 っている瀬川の音が急に音を高めて来る。
岡本かの子 / 東海道五十三次
このカテゴリを全部見る
「道・道路」カテゴリからランダム5
建物の明るみから前へ逆に照り返されて威厳を帯びた銅像が、シルエットになって見える。銅像の検閲を受ける銃剣の参差 のように並木の梢 が截 り込みこまかに、やはりシルエットになって見える。
岡本かの子 / 母子叙情
(道幅が広い)区劃整理の後、道幅が広くなり過ぎて、夜遅くなど歩道を向う側へ渡ろうとすると曠野を歩いている様な気がする。
内田 百けん / 東京日記「東京日記 他六篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
道・道路 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ