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蛇口から注いだばかりの薬臭い水
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:48% 作品を確認(amazon)
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蛇口・水道(水)
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......みはったら」急になれなれしく大阪弁になって酒田が言う。「わたし、持ってきましょか。ちょっと台所に入ってもよろしい?」 テーブルに濡れたコップが置かれる。十和子は蛇口から注いだばかりの薬臭い水を飲みながら、急に、黒崎の顔をはっきり思い出せないような気がする。「いつ、からですか?――行方、不明って」「五年前に届けが出てますね」 何をどう順序だててきけば......
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蛇口は人差し指くらいの細さしかない。その先端はなにかを排泄しようとしてそのまま止まってしまったかのようにふたつ段々がついている。その先から透明なものが、緩やかに、緩やかに現れる。まわりの景色がその表面に映っている。洗面台が、白い壁が、麻理子の顔が、その中に閉じ込められている。それは見つめているとどんどん膨らんでゆく。そして品がないくらいまで大きくなると、一瞬涙の形を浮かべ、そしてぴたんと落ちる。
また一滴垂れる。その瞬間には次の粒が蛇口から顔を出し始める。まったく同じことを繰り返してゆく。徐々に大きくなってゆき、その表面を震わせ、線香花火の玉のようにぴたん落ちる。次が蛇口から現れる。わずかに付着していただけのちっぽけな水は、やがて仲間を吸収し、ぷくりと垂れ下がり、蛇口の先端から離れて離れてとうとう千切れる。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
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大岡 昇平 / 野火 amazon
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