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涙と云うものは妙なものだ。ただの水、なまぬるい水、ぞっこん心がしびれてくる水、人の情のようになぐさめてくれる水、誇張の水、歩きながら泣くのはまことに工合がいい。風がすぐ乾かしてくれる。ハンカチもいらない。袂 も汚れない。
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:67% 作品を確認(青空文庫)
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泣く・涙を流す
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前後の文章を含んだ引用
......みたいに頼りどころがないのだ。ぴゅうぴゅうと風の吹くなかを、私一人が歩いているような気がする。 鬼でもいいから逢いたいものだ。慄 えてくる。歩きながら泣いている。涙と云うものは妙なものだ。ただの水、なまぬるい水、ぞっこん心がしびれてくる水、人の情のようになぐさめてくれる水、誇張の水、歩きながら泣くのはまことに工合がいい。風がすぐ乾かしてくれる。ハンカチもいらない。袂 も汚れない。 鍋町の文房具屋でハトロンの封筒も買って、郵便局で封を書いて、肺は歌うを朝日新聞に送る。何とかなるだろうと云う空想だけの勇気だ。 泣きながら歩いたので頬がつっぱ......
単語の意味
妙(みょう)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
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泣く・涙を流すの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
自分の機能がこわれたかと思った。ものすごく酔っぱらっている時みたいに、自分に関係ないところで、あれよあれよと涙がこぼれてくるのだ。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
人間が泣く時は、前後不覚でなければならないと思っていた。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
涙が噴きあげる。
林芙美子 / 新版 放浪記
両手で顔を覆って、肩を震わせた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
直子は急に眼を堅く閉じ、首を曲げ、息をつめて顔中を 皺 にした。そしてそれを両手で 被うと、いきなり 突伏 し、声をあげて烈しく泣き出した。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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思慮深い貴女 のような物腰
有島武郎 / 或る女
吉川英治 / 治郎吉格子
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やがてすすり泣きが聞こえてきた。最初それが彼の口から聞こえているとは気付かず、部屋のどこかで壊れたオルゴールが鳴っているのかと錯覚したほどだった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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