(女の顔は)眼や鼻や口のどれか一つが全体の諧調を破ることによって魅惑をつくり出しているというような種類のもの
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:1% 作品を確認(amazon)
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美しい顔
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前後の文章を含んだ引用
......、あの幾らか冷やかな輪郭の線の中に柔らかい肉感をとじこめているというようないわゆる近づき難い高雅な美を形づくっている種類のものではなかったが、それは、また、その眼や鼻や口のどれか一つが全体の諧調を破ることによって魅惑をつくり出しているというような種類のものでもなかった。その顔は顔そのものとしてはどちらかと言えば普通にととのった、流通性のある美しさに属するものにすぎなかったが、確かにその顔の中には生命の伸長を中途で......
単語の意味
諧調(かいちょう)
諧調・・・音や色彩などの調子のよさ。全体的にしっくり溶け合った調子。
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顔の醜いのを自認するのは心の賤 しきを会得 する楷梯 にもなろう。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
顔付きが石を掘ったように冷たく美しく見える
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
浮世絵にでもありそうな細長い鼻つきをした瓜実顔
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
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あまりに完全な立派さが却って悲運を想わせるような顔立ち
岡本かの子 / 生々流転 amazon
しわがいっそう深くなって、無数の濃い隈取りのようになる
日野 啓三 / 抱擁 amazon
平凡なあやふやな顔の中年男性だった。耳たぶが分厚いとか、指がたくましいとか、首のラインがくっきりしているとかいう心に残る印象が、一つもなかった。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
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