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葬式であんなに感動したことはない。《…略…》「ああ、本来これが葬式というものだったんだ」と私は思った。生前に何があったとしてもすべてを忘れて、その場を共有している全員が 悼んでいる、惜しんでいる、心から悲しみ、 冥福 を祈っている。美しすぎる。生まれて、生き抜いて死んでゆく人生というものがすばらしく見えすぎる。このたった数時間に死んだ人もその人に 関 った人々も、すべてがゆるされている。  品のいい花輪、心のこもったお供え物。 荘厳 な 読経。ひとりひとりがこの場にいることを本当に大切にして一丸となっている。
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 ページ位置:6% 作品を確認(amazon)
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葬儀・通夜
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前後の文章を含んだ引用
......員で、年が離れた彼の兄が、その会社の社長に就任したばかりだった。 1年前の7月、彼の会社の社長、つまり彼の父親が死んだ。私は部署を代表してその葬儀に出席した。 葬式であんなに感動したことはない。 私はその社長をよく知らなかったが、いかにすばらしいひとであるかといううわさは聞いていた。その会社の事業がいかに大胆でうさんくさくなく、働きやすいかについても聞いたことがある。しかし、葬儀にやってきた人々の様子を見たら、そんなことはもう、ひとめでわかってしまった。「ああ、本来これが葬式というものだったんだ」と私は思った。生前に何があったとしてもすべてを忘れて、その場を共有している全員が悼んでいる、惜しんでいる、心から悲しみ、冥福を祈っている。美しすぎる。生まれて、生き抜いて死んでゆく人生というものがすばらしく見えすぎる。このたった数時間に死んだ人もその人に関った人々も、すべてがゆるされている。 品のいい花輪、心のこもったお供え物。荘厳な読経。ひとりひとりがこの場にいることを本当に大切にして一丸となっている。 私はそういう、大勢のエネルギーがひとつになるために清らかな流れを組むところを、恐縮だが、大好きな人々との乱交の場でしか見たことがなかった。 次男である彼は、母......
単語の意味
悼む(いたむ)
惜しむ(おしむ)
荘厳(そうごん)
悼む・・・人の死を嘆き悲しむ。
惜しむ・・・残念に思う。もったいないと思う。
荘厳・・・宗教的な建物や儀式などの雰囲気が、おごそかで立派なこと。落ち着いた雰囲気の中に近寄りがたい立派さを感じるさま。
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やはり死は、厳かで静かで、じんと心の底に沈み込んでゆく重さを持っていた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon関連カテ葬儀・通夜人の死
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