（激辛三十倍カレー）辛さは、食べ進むにつれて倍加していくようだ。 　全員茹だったような顔になり、思考力は半減し、一種の酩酊状態に陥る。 「味はどうか」といわれても困る。味などまるでわからぬ。かすかな酸味と、凶暴な辛さと、嚙みしめると歯に残ってキシキシと感じる香辛料の残滓が印象に残っているだけだ。確かに人間の食べものではないのかもしれない。 　辛さを耐えしのぐには、氷の入った水がいちばん有効である。ビールは意外に頼りにならない。

洋食屋のカレーはドロリタイプだが、今、カレーの主流はサラサラタイプになりつつある。ご飯の中にカレーがスーッと染み込んでいかないカレーが懐かしい。

（激辛三十倍カレー）「食事をしている」というより「汗を拭いている」といったほうが正確かもしれない。

人間、すき焼きとカレーライスに関しては、親から遺伝的に教わってきた味を最上の美味と心得て、幼児から個人的嗜好を舌へ定着させてしまう結果、他人の味つけはどんな場合にも絶対にうまいと思ってくれない動物である

私は、じゃがいも、にんじん、玉ねぎの形がハッキリとカレーの中に浮いているのが好きだ。 　私の〔ライスカレー〕は、カレーのスープを御飯にかけたようなもので、あまり、どろどろしていない

稲荷ずしに於ける油揚げは、おかずではなく一種の皮である。 　おにぎりに於けるノリと同じように、一種のパッケージともいえる。

ぱらっとしたチャーハン

ふっくらと見事に炊き上がったご飯

雑炊はお腹にもたれず、飲んだ後の夜食に最適である

煎茶の土瓶と飯、茄子のぬか漬けを切り混ぜにした香の物