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もだえ出した雲霧の心は、もう、眸に出て、落着かない光をぎらぎらと、牢の中にさまよわせている。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳 ページ位置:59% 作品を確認(青空文庫)
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身もだえる
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......のお登利が、病気の届けを持って来たという話。  翌晩の七刻ななつになった。  だが、待っていた蔵六は、やはり来ないで、隣房の番人が、代って牢の前に付いていた。  きのうからもだえ出した雲霧の心は、もう、眸に出て、落着かない光をぎらぎらと、牢の中にさまよわせている。しまったッ、しまったッ、と胸の底で叫びぬいているように。 「あ、あ……」  時々、牢天井へ、彼は弱々しい嘆息たんそくをあげて、 「今夜きりだ」と、呻いた。 「――俺ア、一生の算......
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