大部屋の空気の変化に気づいていた。熱気が薄れた。奇妙なほど落ちつき払っている。喧騒は相変わらずだが、殺気立ったところがない。昨日まで部屋中を包んでいた、ヒリヒリとするような乾いた空気が、微かだが湿りけを含んでいるようにも感じられる。《…略…》犠牲者の遺書に流した局員の涙が、熱に浮かされていた大部屋の空気に湿りけと落ちつきをもたらした。

無対流の空気の重さ

空気がどよーんとしている

家の空気が鉛のように重苦しい

乾いた空気に扇を一振りしたような笑いが紛れ込む

空気はムンとして、果物でも腐ったような臭気がする

部屋の空気が湿気を吸ったように重たい

眠たくなってきた

部屋（へや）は息気（いき）苦しいほどしんとなった。

何者かが身を潜め、じっと闇の中でこちらをうかがっている気配がする