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十日の余も、夜昼 の見さかいもなく、帯も解かずに看護の手を尽くした葉子は、どうかするとふらふらとなって、頭だけが五体から離れてどこともなく漂って行くかとも思うような不思議な錯覚を感じながら、それでも緊張しきった心持ちになっていた。すべての音響、すべての色彩が極度に誇張されてその感覚に触れて来た。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:75% 作品を確認(青空文庫)
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疲れる・疲労感
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前後の文章を含んだ引用
......めと降りつづいている五月雨 に、廊下には夜明けからの薄暗さがそのまま残っていた。白衣を着た看護婦が暗いだだっ広 い廊下を、上草履 の大きな音をさせながら案内に立った。十日の余も、夜昼 の見さかいもなく、帯も解かずに看護の手を尽くした葉子は、どうかするとふらふらとなって、頭だけが五体から離れてどこともなく漂って行くかとも思うような不思議な錯覚を感じながら、それでも緊張しきった心持ちになっていた。すべての音響、すべての色彩が極度に誇張されてその感覚に触れて来た。貞世が腸チブスと診断されたその晩、葉子は担架に乗せられたそのあわれな小さな妹に付き添ってこの大学病院の隔離室に来てしまったのであるが、その時別れたなりで、倉地は......
単語の意味
何処とも無く(どこともなく)
五体(ごたい)
何処とも無く・・・はっきりとした場所は言えないが、なんとなく。どことなく。
五体・・・身体を構成する五つの部分。頭・首・胸・手・足。また、頭・両手・両足。漢方では、筋・脈・肉・骨・皮。転じて、全身。
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疲れる・疲労感の表現・描写・類語(嫌いのカテゴリ)の一覧 ランダム5
恐ろしいほどの疲労を伴いました。ラバウルに着陸した時には、一瞬気が遠くなりかけました。こんな経験は初めてです。全身の骨ががたがたと外れていくようで、飛行機から降りるのもやっとでした。兵舎に向かう地面がふわふわと揺れているような感触だったのを覚えています。出来るならそのまま地面に倒れてしまいたいと思いました。
百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
ここ数日、和弥さんは食欲がなくなり、ぼんやりと遠くを見ていることが多くなりました。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
なんとも言えない虚無的な疲れ
梶井基次郎 / 冬の蠅
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「心」の言葉を含む嫌な気持ちの表現(嫌いのカテゴリ)の一覧 ランダム5
一晩中うねる大波に揉まれていたような心身の疲労を極度に感じた。
宮本百合子 / 伸子
自尊心を満たすための精神的なオナニー
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
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「嫌い」カテゴリからランダム5
疲れが、じくじく水を吸うよう海綿のように僕の内部でふくらむ
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
牛河はその午後を、深い無力感に包まれて過ごした。その無力感にはかたちもなく重みもなかった。血液の動きが遅く鈍くなった。視野に淡い霞がかかり、手脚の関節が気怠く軋んだ
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
良く言えばクールな、悪く言えば意地悪そうなトーン
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
怒声に似た口調で言っている
太宰治 / 人間失格
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(医者は)小さな血の塊りをミツの子宮からとり出した
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
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