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父はなにも言わない。見舞いを喜びもしない代わりに嫌がることもない。僕もほとんど声はかけない。見舞いというより墓参りをしているような気分で、ただぼんやりと、ゆるやかに死んでいく父を見つめる。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 ページ位置:2% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
植物状態
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......をきかず、横を向いたきり目も合わせず、もはや実際にそうする体力は残っていないのだが、白湯の入った吸い飲みを伸之に投げつけようとしたこともあったという。 僕には、父はなにも言わない。見舞いを喜びもしない代わりに嫌がることもない。僕もほとんど声はかけない。見舞いというより墓参りをしているような気分で、ただぼんやりと、ゆるやかに死んでいく父を見つめる。 秋の初め、智子に勧められて、父を車椅子に乗せて病院の中庭を散歩させたことがある。父はそのときもとりとめのないことを二言三言しゃべっただけで、僕もコスモスがきれ......
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
医師は、無口だった。が気まずい感じではなかったので、わたしも無理に話題を探そうとしなかった。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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帰るたびに、父の体は縮んでいく。夏の頃は僕が見舞いに訪れると母や付添婦さんの助けを借りてベッドに起き上がっていたが、今日は最初から最後まで横になったまま、落ちくぼんだ目でぼんやりと天井を見つめていた。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
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「声・口調」カテゴリからランダム5
キャーッと笑う声が、まるで若い娘たちのようだ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「じゃあねえ」と軽く歌うように言って
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム5
疲れが、じくじく水を吸うよう海綿のように僕の内部でふくらむ
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
(仕事が終わると、)練習がすんだ後に水道の蛇口を奪い合う、スポーツ部の学生のように、おれは酒屋の立ち呑みなり、安バーなりに駆け込むのだ。渇きは、飲んでも飲んでもいやされることはなかった。まるで塩水でも飲んでいるように、飲めば飲むほどアルコールに対する渇きが増すのだった。おれの内臓は頑丈で、いくら飲んでも吐き戻したり昏倒したりという失態はなかった。《…略…》胃に穴のひとつもあけば、少くとも半年や一年は禁酒の空白期を持てただろう。 内臓は頑丈でも、おれの心には穴がいくつもあいていた。夜ごと飲みくだすウィスキーは、心にあいたその穴からことごとく漏れてこぼれ落ちてしまうのだった。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
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