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私は部屋に行き、シーツの中に潜った。  疼きのような熱の塊は、尾てい骨と恥骨の間の空間に宿っているみたいだった。私はそこへ向かう柔らかい穴を、下着の上から指でたどった。《…略…》下着の上からも、そこがとても柔らかいということがわかった。他の皮膚とは違う柔らかさは、内臓と同じ物質でできているように思えた。  私はその奥の疼きを引き出すように、柔らかい穴を下着の上から指でたどりつづけた。中には怖くて指を入れられなかった。疼きのほうが、まるで外へ出たいというかのように、柔らかい穴の奥で少しずつ膨れていった。《…略…》下着の隙間から直接柔らかい皮膚に触れると、そこは少し水けを帯びているみたいだった。《…略…》爪先からぴりっと、小さな、光の粒でできた雷のようなものが走って、脚の間からその光の粒子がゆっくりと抜けて行った。《…略…》欲望を演奏することによって身体から抜けて行った疼きの塊は、どこにもなくなっていて、膝と性器に、微かな脱力感が残った。身体の中を渦巻いていた音楽はやっと演奏されておさまったみたいだった。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 ページ位置:91% 作品を確認(amazon)
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自慰
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前後の文章を含んだ引用
......た。 ふっと、自分の体内に、久しぶりに熱が宿ったのがわかった。 今までは、この熱は行き場がなくて、私は暴れてばかりいた。ふと、自分の熱に触ってみようと思った。 私は部屋に行き、シーツの中に潜った。 疼きのような熱の塊は、尾てい骨と恥骨の間の空間に宿っているみたいだった。私はそこへ向かう柔らかい穴を、下着の上から指でたどった。 初潮が来てから三年半以上たち、何百枚も自分の経血がしみ込んだ生理用品を取り替えたけれど、直接自分の性器に触れるのはこれが初めてだった。お風呂ですら、さっとスポンジでこするだけで、指で触れたことはない。 下着の上からも、そこがとても柔らかいということがわかった。他の皮膚とは違う柔らかさは、内臓と同じ物質でできているように思えた。 私はその奥の疼きを引き出すように、柔らかい穴を下着の上から指でたどりつづけた。中には怖くて指を入れられなかった。疼きのほうが、まるで外へ出たいというかのように、柔らかい穴の奥で少しずつ膨れていった。 伊吹の精液も、あのとき、こんなふうに膨れて行ったのだろうか。そう思うと、急激に疼きが増幅した。 下着の隙間から直接柔らかい皮膚に触れると、そこは少し水けを帯びているみたいだった。自分の体の中に、目と鼻と口と尿道以外にも水が出る場所があったのだと、少し不思議に思った。 私は自分の太ももを指でたどった。そこにも、疼きがあった。あんなに嫌いだ......<中略>......いて、肉体は、それを演奏するためにあるのだ。 伊吹の、あのとき聞いた、小さな悲鳴のような呼吸が耳に蘇った。そのときの濡れた目と、舌に広がる体温を思い出した瞬間、爪先からぴりっと、小さな、光の粒でできた雷のようなものが走って、脚の間からその光の粒子がゆっくりと抜けて行った。 私は起き上がり、自分の脚の間を見てみた。何かが抜けて行った感覚があったので、伊吹の精液のようなものか、もしくは何かきらきらした星屑のようなものが、ベッドの上に散らばっていないかと思ったのだ。 そこには何もなくて、皺だらけのシーツがあるだけだった。 欲望を演奏することによって身体から抜けて行った疼きの塊は、どこにもなくなっていて、膝と性器に、微かな脱力感が残った。身体の中を渦巻いていた音楽はやっと演奏されておさまったみたいだった。 私はもう一度窓ガラスを見た。欲望を排出した下半身は脂肪で膨れていたが、青白く光っていた。その、マネキンのように完成されてはいないけれど、いびつな曲線の肉体が、......
単語の意味
渦巻く(うずまく)
身体(しんたい)
爪先(つまさき)
膝(ひざ)
足・脚・肢(あし)
渦巻く・・・1.水や煙がグルグルと回って渦になる。ある感情が心の中に渦のようにグルグルと存在する。
2.気持ちや考えが次から次へと起こって、ごちゃごちゃになる。
身体・・・人のからだ。肉体。
爪先・・・1.手や足の、爪(つめ)の先端。
2.足の指の先。足先。
・・・1.足の関節部で、腿(もも)と脛(すね)とを繋ぐところの前面。腿と脛の境の前面部。膝頭(ひざがしら)。
2.座ったときの、腿の上側にあたる部分。大腿部(だいたいぶ)。
足・脚・肢・・・1.動物の胴体の下から左右に分かれて伸びている部分で、歩いたり体を支えるのに用いる部位。とくに、足首から下の部分をさすこともある。
2.台を支える棒状の部分。物の本体を支える、突き出た部分。また、地面に接する部分や、物の下や末端部分。「テーブルの足」
3.歩くこと。走ること。また、その能力。「足が速い選手」
4.行くこと。また、来ること。また、そうするための手段や乗り物。「客の足がとだえる」「足の便がいい」
5. 餅(もち)などの粘り。こし。
6.損失。欠損。借金。また、旅費。
7.その他、足の形や動きから連想されできた表現として、
・食べ物の腐りぐあいや、商品の売れ行き。「足がはやい」
・(脚)漢字を構成する部分で、上下の組み合わせからなる漢字の下側の部分。「照」の「灬(れっか)」、「志」の「心(したごころ)」など。
・雨や雲、風などの動くようす。「細い雨の足」
・(足)過去の相場の動きぐあい。
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