木の芽 の色、玲瓏 な空、もえる陽炎 、まことに春らしい山村の春。
吉川英治 / 増長天王 ページ位置:1% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
春
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......思うと寒い筈だが、案外冷たい風もなく、南勾配 を選 って山歩きをしていると草萌頃 のむしむしとする地息に、毛の根が痒 くなる程な汗を覚える。 天明 二年の春さきである。 木の芽 の色、玲瓏 な空、もえる陽炎 、まことに春らしい山村の春。 肥前鍋島家 の役人、山目付 の鈴木杢之進 という色の黒い侍 、手に寒竹 の杖 をもち、日当たりのいい灌木 の傾斜を、ノソリ、ガサリ、と歩いている。 「どうも、さっぱり面白くな......
単語の意味
玲瓏(れいろう)
陽炎(かげろう・ようえん)
玲瓏・・・1.宝石や金属が触れ合ったときのように、澄みきった美しい音や声を立てるさま。
2.宝石のように、美しく澄みきっているさま。
「玲」は「玉(=宝石)の涼しげに鳴る音の形容」につかう字。「瓏」は「玉が触れ合って鳴る明らかな音」や「明らかなさま」をあらわす字。
2.宝石のように、美しく澄みきっているさま。
「玲」は「玉(=宝石)の涼しげに鳴る音の形容」につかう字。「瓏」は「玉が触れ合って鳴る明らかな音」や「明らかなさま」をあらわす字。
陽炎・・・春や夏の穏やかな日に、透明の炎のような揺らめきが地面からユラユラと立ちのぼる現象。局所的に密度の違う空気が混じることで、光が異常屈折して起こる。
ここに意味を表示
春の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
山に遅い春が来て、裸の木々が一斉に芽吹くとき。その寸前に、枝の先がぽやぽやと薄明るく見えるひとときがある。ほんのりと赤みを帯びたたくさんの枝々のせいで、山全体が発光しているかのような光景を僕は毎年のように見てきた。山が燃える幻の炎を目にし、圧倒されて立ちすくみながら、何もできない。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
樹々は一斉に新緑に包まれ、溢れる日光を受けて歓びおののいた。空気にも、朝も、昼も、夜も鼻翼をくすぐる若葉の香がみちた。郊外の林間では、腐った去年の落葉の下から、いろいろな野花が咲きだした。
宮本百合子 / 伸子
このカテゴリを全部見る
「春」カテゴリからランダム5
一面茶の木が鶯餅 を並べたように萌黄 の新芽で装われ、大気の中にまでほのぼのとした匂いを漂わしていた。
岡本かの子 / 東海道五十三次
同じカテゴリの表現一覧
春 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ